相反する原則
SHAREプログラムの大まかな目的は以下の通りである：
1. 危険なセックスの発生率を減らす。
2. 望まない妊娠の割合を減らす。
3. 若者の恋愛・性的関係の質を向上させる。

プログラムの開発には、4つの基本原則があった。それは
1. 理論に基づき、若者のセクシュアリティに関する最近の社会科学的研究から得られた知見を応用する。
2. 既存の最高の性教育教材と実践を活用する。
3. 厳密な評価ができるよう、十分に標準化されていること。
4. 学校環境で容易に複製可能で、持続可能であること。

最初の原則に従って、設計作業は、若者の安全な性行動を予測する社会的認知モデルの有効性に関する最近の研究［例えば（Catania et al、 1999）］、象徴的相互作用論やスクリプト理論［例えば（Gagnon and Simon, 1974）］を用いた若者の性行動の分析、現象学［例えば、Bloorら（Bloor et al., 1993）によって適用されている］、異性間相互作用における力関係の分析［例えば（Holland et al., 1990, 1992）、詳細は（Wight et al.］ さらに、態度変容のElaboration Likelihood Model（Petty and Cacioppo, 1986）は、(1)論拠の考察と評価を最大化し、(2)個人的関連性を強調するメッセージは、安定した態度変容とその後の行動変容をもたらす可能性が高いことを示唆している。したがって、レッスンは、個人的な関連性を強調し、問題に対する積極的な考察を促すようにデザインされた。

研究に基づく設計は、行動変容を達成するために必要な前提条件を特定し、それに対処する可能性が高いが、研究結果の意味は、現在の実践に内在する教育的正統性と、持続可能性と再現性に不可欠なコストの制限の両方に抵触する可能性がある。教師の専門的な哲学に真剣に挑戦するような教師主導のプログラムは、全国的に再現される可能性は低く、費用のかかる介入（外部の専門家の関与や地域の性保健サービスへの組織的な訪問など）は、競合する組織的な要求に直面して中止される可能性がある。

このような葛藤の中で、いくつかの原則を他の原則よりも優先させ、研究に基づいた構成要素を教室の制約に合わせ、特に訓練を受けた教師がほとんどの参加校で利用できる40分の授業で現実的に達成できることを探る必要があった。本稿では、これが達成されるまでのプロセスに焦点を当て、第1原則の理論的出発点から第4原則の実践的目標への移行を明らかにする。(1)経験的研究に裏付けられた理論的アプローチと、現在の健康教育の根底にある理論的アプローチとの間の緊張関係、(2)ジェンダー化されたセクシュアリティの解釈を、どのように互いに互換性のあるものにするか、(3)対象グループの限られた性体験にどのように対応するか、(4)性交渉とコンドームの取り扱いスキルの実践を、どのように教室に導入するか。