AIのべりすと地獄専用スレッド

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1アメリカン・クルーソー◆6l9kT02E.A
2023-05-31 10:24:06
ID:bFZLamtI

【本スレ】AIのべりすと実験スレッド
https://jeison.biz/casphy/bbs/read.php?cate=free&mode=thread&no=18170
  
※このスレッドでは、地獄関連の小説を「AIのべりすと」や他の生成AIを用いて執筆していきます。参加は自由です。アイデア出しや批評、リクエストだけの参加でもOKですし、勝手に続きを書いてもらっても構いません。縛りは「何らかの仕方で地獄と関連している」というだけのことです。執筆は人間だけでやってもらっても構いませんし、もちろんAIを使ってやってもらっても構いません。なお、今書いたこのルールは、「何らかの仕方で地獄と関連している」という縛りを除けば、本スレ「AIのべりすと実験スレッド」にも適用されます。
 
【プロローグ】
https://youtu.be/KVQ5zbslnD0
  
【「大論界 地獄篇」OPテーマ】
https://youtu.be/5TYDv-Trmq0
 
【「大論界 地獄篇」EDテーマ】
https://youtu.be/Vq_hUy7n16w
 


[編集]
2名無しさん
2023-05-31 10:30:52
ID:bFZLamtI

【地獄篇 第一歌】

暗闇に包まれた地下室。吹雪は、身を縛られたまま、目を覚ます。湿った暗闇に目を凝らすと、周りには無数の鎖につながれた番犬たちがうごめいており、恐ろしい鳴き声を響かせている。

「どこだ、これは…」吹雪は困惑しながらも、冷静さを保とうと努めた。

地下室の壁には、無数の刻まれた罪の痕があり、暗く不気味な雰囲気が漂っていた。吹雪は自らの罪の重さをアプリオリに感じつつ、どのようにしてここに落ちてしまったのかを思い出そうとした。

「俺の名前は…」思い出そうとするが、思い出せない。ただ、「吹雪」と呼ばれていたことだけは確かだった。

「喧嘩師…?」何故かそのような単語が浮かんできた。どういう意味なのだろう。

その時、地下室の床が突如として開き、熱い灼熱の光が吹雪を包み込んだ。吹雪は目を閉じ、耳をふさいだが、どうしようもない熱さが彼/彼女の全身を貫いた。

目を開けた吹雪は、自分が地獄の底にいることをアプリオリに悟った。広大な地獄の景色が広がり、奇妙な岩や炎の柱がそびえ立っている。吹雪の周りにはさまざまな罪を犯した魂たちが悲嘆の声を上げ、苦悶の表情を浮かべている。

「ここは……一体何なんだ?(地獄か)、俺はどうしてこんなところに落ちてきたんだ?」

突然、背後から何者かが現れたかと思うと、吹雪に声をかけた。

「君は論争師だ。僕は君の相棒さ。名前は……まだない」

振り向くと、そこには少年の姿があった。年齢は十代半ばくらいだろうか。黒い髪に整った顔立ちをしている。

「君がここにきて一番最初にやらなければならないことは、僕に名前をつれることさ」

吹雪は唖然として少年をただ呆然と見つめていた。「なんだ…論争師って」職業なのか、それとも…。

「まずは僕に名前をつけて」少年は言った。

「名前……。そうだなあ」吹雪は周りを見渡した。薄暗い曇った空を透かしてクリーム色の光が地上にさしていた。
「光…いや」曇っているのか晴れているのか、よくわからない空から、霧雨がやさしく、そして哀しく吹雪に降り注いでいた。

「そうだね、じゃあ『霧雨』でどうだい?」吹雪がそういうと
「まあ、そうなるよね」と霧雨は言った。

「不満かい?」吹雪は尋ねた。
「いいや、気に入ったよ。これからよろしく、吹雪」

こうして吹雪と霧雨の物語が始まった。二人は地獄の世界を歩き始めた。

3名無しさん
2023-05-31 11:22:35
ID:bFZLamtI

「地獄とはどんな場所なんですか?」吹雪は先を行く霧雨に問いかけた。
「地獄は、魂の行き着く先。死んだ人間の行くべき場所さ」
「それはわかっているけど、具体的にどんな所なのかなって思ってさ」
「地獄は、生前に犯した罪を償うための場所だよ。天国と対をなすものと考えてもらってもいいかな」
「罪を償う……?」
「うん。地獄に堕ちるのは、生前に罪を犯して地獄に堕ちるほどの罰を受けた者たちだからね。地獄では、罪の重さに応じて様々な苦痛が与えられるんだよ」
「へえ……」
「例えば、ある男は、たくさんの人を騙す嘘つきで、その罪によって地獄に落とされた。地獄では、巨大な鉄球のついた足かせをはめられ、大きな岩山を引きずられながら歩かされる。一日中休みなく。それでも罪は許されることはない。なぜなら、彼が引きずられているのは、彼自身の罪そのものだから。彼の心の中には、自分の行いに対する反省など微塵もなく、ただひたすらに自分を騙し、他人を欺き続けた。それが彼の罪であり、地獄に堕とされる理由だったから。永遠に許してもらえないし、たとえ許されたとしても、彼の中にある自分でも気付くことのできない罪悪感(根源的な罪悪感)は決して消え去ることがない。彼は死ぬまでずっと、罪に引きずられて生きていくしかないんだ。つまり、地獄とは、彼に対して課せられた苦しみの世界というわけ」

「なるほど……」


「また別の男の話をするけれど、この男の罪は、他人の妻を寝取ることだった。地獄に堕とされた理由は、ただそれだけだった。彼が落とされた地獄は、血の池地獄と呼ばれているところで、真っ赤な液体の中に沈められる。息ができず苦しむが、決して死なせてはもらえない。永遠に赤い液体の中で、罪の意識から目を背け続けなければいけない。もし少しでも罪の意識を感じたり、後悔したりしたら、今度はもっとひどい地獄に落とされてしまうから。もっとひどい地獄に堕とされれば、そこでもっとひどい責め苦を永遠に受け続けることになる。そんな地獄がいくつも存在する。地獄は、罪人の心を試し続ける場所でもあるんだ」

「地獄には、本当にいろんな人が来るんですね。でも、みんな自分がやった悪いことをちゃんと覚えていて、それを悔やんで地獄に来ているんですかね」

「地獄にいる人たちは、だいたいは生前に自分が行った悪事を覚えている。地獄に来る人たちは、皆それぞれ地獄に落とされる理由を持っている。それを理解しなければ地獄にいる意味が無い。地獄に堕ちた理由を忘れてしまった人は、地獄に堕ちる意味が無くなってしまうんだからね」

「地獄に堕ちた理由を忘れた人は、どうなっちゃうんですか?」

「さあ? 僕は知らないよ」

吹雪は不安になった。自分は地獄に落ちた理由を覚えていない。それどころか、自分の本当の名前さえ思い出せない。いったい、自分はこれからどうなるのだろう。「相棒」を自称するこの地獄の案内人でさえ、それを知らないのだ。あるいは、知らないフリをしているのかもしれないが。

「……霧雨さんは、どうして地獄に堕ちたんですか?」

「僕かい?」霧雨は目を細めて笑った。「知りたいのかい?」
「はい。とても気になります」
「じゃあ、教えてあげるよ。その代わり、僕のお願いを聞いてくれるかな?」

「お、お願いって?」
「君の好きな人のことを聞かせて欲しいんだ」
「え!?」
「ダメかい?」
「だ、だめじゃないです。けど、どうして急に……」
「だって、君たちは恋人同士なんでしょ?」
「こ、こいびと!?誰のことを言ってるんですか!」
「違うの?」
「ち、違います! 全然、そういうんじゃないです!」
「そうなの?」
「はい」
「そっか。じゃあいいか」

「あの、それで、わたしの質問にも答えてくれるんですよね?」
「うん。いいよ」
「どうして地獄に堕ちたのか、聞いてもいいですか?」
「もちろん」
「どんな理由で地獄に堕ちたのでしょうか」
「うーん。そうだねえ」
「言いたくないなら、言わなくても大丈夫ですよ」
「いや、別に隠しているつもりはないんだけど……。まぁ、簡単に言うと、寝取られたからだよ」
「えっ」

「僕は、ある女性を愛していた。彼女はとても美しくて聡明な人だった。彼女と出会ってから、僕の人生は変わった。彼女のおかげで、世界が変わった。そう思っていた。世界を変えるために、僕は彼女と過去の一切から逃げた。逃げて逃げて、もうこれ以上逃げられない、となった時に、僕らを匿ってくれたやさしいおじさんがいた。……でも、僕が好きだった彼女は、最終的に、そのおじさんに寝取られてしまったんだ」

「寝取られた方が地獄に落ちるって、おかしくないですか?」

「おかしいよね。でも、これが現実なんだ。地獄に堕ちたのは、寝取った方ではなく、奪われた側だったんだよ。つまり、僕のことだけどね」

「そんなの、あんまりです。ひどいです。ひどすぎます。どうしてあなたが地獄に行かなきゃいけないんですか」

「やっぱりそこに『罪』があったんだろうねえ。僕にはどんな罪だかわからないけど。でも、『寝取られたから地獄に落とされた』『寝取られたことが僕の罪』であることは確かだ。……さて、着いたよ」

目の前には、真っ赤に染まった大きな池が拡がっていた。

「ここが、血の池地獄です」

池のそばに、真っ白で大きな建物が建っている。建物の前には看板があり、「血の池地獄」と書かれている。

「池の中に入ってください」
「池に入るんですか?」
「はい。池の中にいる係員の指示に従って、順番に池に入水してください。指示に従わない場合、罰を受けることになります。まずは、右端の方から行きましょう。こちらへどうぞ」

二人は池に足を踏み入れた。水面が赤いため分かりづらいが、水温はかなり低いようだ。足元から冷気が這い上がってくる

「うわあ。冷たいですね」
「はい。ここでは、池に入った人の身体に電流が流れる仕組みになっています。電流は、池の底に埋め込まれている電極によって流されます。そのため、入水した人が暴れたり、沈んでしまったりすると、すぐに感電してしまいます。ですから、絶対に動かないようにしなくてはいけません。また、あまり長い時間、水中にいると心臓麻痺になる恐れがあります。十分に注意して下さい」
「わかりました。あの、ところで、どうしてこんなに寒いのに、わざわざ裸にならないといけないのですか?服を着たままでは駄目なのですか?」
「いえ、服のまま入っても問題ありません。しかし、それでは地獄に来た意味がないでしょう。地獄とは、罪を償うことを許された場所なのです。そして、我々はみな、何かしらの罪を背負って生きているのです。だから、ここに来た以上、全身全霊で罪を償わなければならない。それが我々の義務であり、ここに来た理由でもある。そう思いませんか?」
「はい。そう思わないでもないような気もします」
「そうでしょう。ならば、早く脱いでしまいなさい」
「はい」

吹雪は、しぶしぶズボンを脱ぎ始めた。

4名無しさん
2023-05-31 13:44:51
ID:RXv/Fy9w

刀葉林お願い

5スージー・クワエタロ◆Qnm6KY4ch.
2023-05-31 14:32:39
ID:Yy3dU7vM

>>4
自分でも書いてみたらいいんじゃない?AIを使ったりして。

6名無しさん
2023-05-31 16:04:04
ID:PjvrXTWI

( ゚∀゚)アヒャヒャヒャヒャ

7名無しさん
2023-05-31 16:04:35
ID:PjvrXTWI

どやさどやさ

8名無しさん
2023-05-31 16:31:09
ID:RXv/Fy9w

雪女と女獄卒お願い
雪女が亡者救済しているシーンお願い

9名無しさん
2023-06-21 00:53:40
ID:wrs3PXmU

吹雪は、しぶしぶズボンを脱ぎ始めた。

ズボンを脱ぎ始めた吹雪は、あることに気付いてハッと手を止めた。

「なんかベタベタする!」

ズボンの膝の部分、それからシャツの腰の部分に何やらベタベタする液体のようなものを結構な量、かけられていたのだ。

「これ、精液(ザーメン)じゃないの!?」

吹雪は手についた精液を鼻にもっていって、「クサッ!」っと叫んだ。いったいどこでこんな大量の精液をつけられたのか。吹雪にはまったく記憶がなかった。

「チクショウ!なんなんだよ…」

ブツブツ言いながら吹雪が完全に裸なると、股間にはビニールでできてるような、赤ちゃんみたいなドリルちんこが、これまたやわらかいプラスチックで作ったようなプクッと丸い玉袋の上にチョコンとのっかっていた。それでいて、胸には40過ぎの熟女を思わせるような、大きな茶色の乳輪がなまめかしい巨大なおっぱいが二つ、ぶら下がっていた。それをチラ見した霧雨は、ゴクリとのどを鳴らした。

「でも霧雨さん」
「はい!?」
霧雨は急に質問されて、飲み込みかけのツバを気管に入れてしまった。
「ガハッ、ゴホゴホッ、ゴホ、ゲエ!」
「大丈夫ですか?!霧雨さん」
「いや、ゲホゴホ…大丈夫、ちょっと気管が…」

10名無しさん
2023-06-21 00:55:11
ID:wrs3PXmU

吹雪は霧雨の咳がおさまるのを待って、さきほどから抱いていた素朴な疑問を口にした。

「あのー、ちょっと疑問なんですけど、なんで最初に『血の池地獄』なんですか?最初は『死出の山』とか『三途の川』とかあって、閻魔様とかがいる裁判所みたいなところへ行くんじゃないんですか?あるいは、『この門をくぐる者、一切の望みを捨てよ!』って書いてある『地獄門』を通って地獄へ渡る『アケロン川』から『辺獄(リンボ)』に行くとか…」

「いい質問だね」霧雨はさっきの動揺が嘘であるかのように冷静に答えた。
「基本的に、われわれが地獄とか天国とか煉獄と呼んでいるものは、無限に存在する平行異世界や可能世界のひとつにすぎない。そして、その無限に存在する異世界の中のどれを『天国』と呼び『地獄』
と呼ぶかは、どの世界のどの宇宙のどの地域でどの文化に属しているか、ということに依存するし、最終的には、人それぞれ、その人の生き方考え方から、それがどう見えるか、という問題にすぎない」
 
「はあ…」
「でも、いま吹雪君が旅しようとしているこの世界は、そういう横並びの無限の多様性からは少し外れた、というか…ある意味、メタレベルといえるような領域である『亜空間』の中の『地獄』なんだ。そして、この地獄は、吹雪君のためだけに存在しているんだよ」
「えっ!?どういうことですか?」
「その答えは、この旅の中で、吹雪君自身が見つけ出さなければならない。もし、君がその答えに到達しなかったら、この地獄も、そしてこの僕も、『はじめから存在しなかった』ことになるんだ」
「えーっ!?」

「おーい、なにをしてるんだ、はやく入ってこい!」
係員の獄卒が、これ以上待てないという態度を露骨に表していた。

11名無しさん
2023-06-21 00:56:05
ID:wrs3PXmU

「そういえば、『血の池地獄』って、『血を流す生き物』である女は、ほとんど落とされてしまう女性差別的な地獄じゃありませんでしたっけ!?」
霧雨はもはや質問には答えず、馬並みに大きいペニスを左右に揺らしながら血の池地獄に入っていった。
女人成仏を説いた『法華経』でさえも、女性は成仏することが難しく、一度男性に生まれ変わってからでないと成仏できないと考えられていました。このことを「変成男子(へんじょうなんし)」といいます。霧雨はその、「変成男子」なのである。

血の池をザバザバ歩いて係員のところへ行くと、その獄卒はなんと女であった。
(女獄卒か…)
霧雨は複雑な表情で獄卒を見た。
「女子が全員、デフォルトで地獄行きなのは納得いきません!」
吹雪が女獄卒にくってかかる。
「めんどくさいヤツだなあ…いいから、はよ池の血を飲め」
女獄卒は、ワイングラスで池の血をすくうと、吹雪に手渡した。
「健康にメチャクチャいいから!」獄卒は吹雪に親指を立てるジェスチャー(Thumbs up)をしてウインクした。
「あ、ああ…」
吹雪は仕方なくそれを受け取り、一気に飲み干した。
「え!?おいしい…」
「でしょでしょ!?」女獄卒は吹雪にドヤ顔をみせた。
「いや、これ…トマトジュースなんかより全然イケますよ!」
「よかったじゃん!」霧雨が吹雪の肩をポンと叩いた。
「いや、もう一杯ください!」
「ダメだよ!おかわりはないの!」
「そんなあ……」
「あんたたち、早くこっち来なさい!」
女獄卒は二人に、小さな船に乗るように指示した。
「これは、この血の池地獄から次の地獄へ行く小舟だから。ほれ、乗った、乗った」

二人は言われたとおりに乗り込んだ。

12名無しさん
2023-06-21 00:57:30
ID:1eOPebhk

まうんてーん

13名無しさん
2023-06-21 00:58:00
ID:wrs3PXmU

小船はゆっくりと発進し、水面に浮かんでいる赤い蓮の葉の上を滑り出した。
水の上に咲いているように見える真っ赤な花は、すべて同じ種類であるようだ。その葉はどれも細長く、まるで人間の髪の毛のようである。
この血の池地獄をぐるりと囲んでいるのは、血のように赤い色をした蓮の花なのだ。そしてその花の中心では、蓮の実から流れる鮮血が常に流れ続け、それは地獄の中へと落ちていく。
この、赤い色の巨大なプールの中に浮かぶ蓮の茎の上では、何人もの裸の男達が、お互いを犯しあいながら、互いの肉を喰らい合っている。
血が滴り続ける無数の蓮の花は、まさにこの世の地獄だった。霧雨と吹雪は、その地獄を眺めながら呆然と立ち尽くしている。

しばらく行くと、前方に巨大な山がそびえていることに気づいた。頂上から大量の湯気が吹き出し、雲と溶け合って、天高く上っていく。山頂からは白い蒸気が溢れ出している。
その山頂から流れる溶岩流はやがて大きな滝を形成し、その底に沈んでいく岩は、マグマによって赤く熱せられていた。
この、温泉が噴き出す火山の頂には、一人の少女が立っている。少女は全裸のまま空を見上げ、手を伸ばしながら歌っていた。

♪ ここは天国なのかしら それとも地獄? わからないけれど ただ言えることは わたしは いま生きているということ この世でいちばん美しい景色を見ながら あなたに愛されていること あなたを愛していること それがただ嬉しいのよ

少女がこちらを向くと、長い髪がふわっと舞い上がり、また静かに降りていった。彼女の目や鼻や口元を見ているうちに、霧雨と吹雪はその美しさに見惚れてしまった。
霧雨が少女に向かって何かを叫んだ。我々にも、すぐとなりの吹雪にも認識できない声であったが、確かに、何かを叫んだ。

お前も地獄に堕ちるぞ、という声が聞こえてきそうだが、そうではない。彼女は極楽浄土に住む神女であるからだ。成仏が叶わぬ人間の女ではない。
霧雨が彼女に手を伸ばした時、その背後に大きな炎が出現した。霧雨はその炎に焼かれて、灰になって崩れ落ちると、血の水に溶けていってしまった。
女獄卒は言った。

「あんたら、地獄で死んだらみんな、ここへ来るんだよ」

そこはすでに次の地獄、『等活地獄』であった。

14名無しさん
2023-06-21 18:54:10
ID:mr6nHTcU

等活では女の亡者同士が対決している
女獄卒が生きよ生きよと言うと女の亡者が蘇生して再び永遠に対決している

15名無しさん
2023-07-19 03:17:36
ID:USd/2i7U

「霧雨さん、霧雨さーーーん!!」

泣き叫ぶ吹雪に、獄卒は

「心配すんな、きっとまた会えるよ」

とやさしく声をかけた。

「ありがとう」
しばらく泣き続けていた吹雪は、女獄卒の言葉でようやく落ち着きを取り戻した。

「さ、次の地獄に着いたぞ。アタイはここで帰る」
獄卒は裸の吹雪に古墳時代の衣?(きぬはかま)姿みたいな地獄見学者専用の衣服を渡すと、ニッコリと笑った。

「あの・・名前を教えていただけませんか?」

獄卒は決まりが悪そうにはにかむと、
「名前なんてたいそうなもんはないよ。でも、みんなはアタイのこと、『闇のふかづめ竜子』って呼んでるよ」
と言った。

「ふかづめ竜子さん・・」

吹雪は女獄卒を真剣にみつめた。

「竜子さんて、いい人ですね」

このとき、女獄卒の胸がにわかにポカポカと温かくなり、内在的超越による『仏(ホトケ)』が誕生した。ホトケの名を「弓釈子」という。仏教でいえば「釈迦如来」に相当するホトケである。

このしばらくあと釈由美子に転生した竜子は、ドラマ『スカイハイ』で「怨みの門」の門番「イズコ」役を演じ、こう言い放つことになる。

「おいきなさい」

外在的な絶対的超越者としての「仏(ホトケ)」など存在しないし、かつて存在したためしもかった。内在的な、内側(自分)に向かっての超越こそ、「仏(ホトケ)」の神髄なのだ。

16名無しさん
2023-07-19 03:18:33
ID:USd/2i7U

等活地獄に足を踏み入れた吹雪は、うすぼんやりした道の先に、誰かが立っていることに気付いた。何か棒のようなものを持った女性だった。

「ありぃさん!」

吹雪は思わず叫んだ。前世において、メイドカフェ「Tea Room 有栖」で同僚として働き、そのメイドカフェの店長「有栖」がプロデュースしたアイドルユニット「アナーキー乙女」でも同じメンバーとして一緒に活動した「ありさ」、通称「ありぃ」とこんなところで再会しようとは。

「よう、吹雪。久しぶり」

顔面ピアスだらけの女獄卒ありぃは、かついだ野球バットで肩をポンポンと叩きながら吹雪に挨拶した。

「ひょっして・・ありぃさん、獄卒なんですか?」
吹雪はもう少しで吹き出してしまいそうな自分を我慢した。

「悪いか?」

「いや、でもなんか・・ピッタリだな、って思って・・」
「自分でもビックリしてるよ。女獄卒とはね。ここに来てもう何百年にもなるけど、結構自分に合った仕事だと思う」
ありぃは苦笑した。

「等活地獄って」吹雪は唐突に疑問をぶつけてきた。
「たしか、人間とか動物を殺生した人が落ちる地獄ですよね」

ありぃは急に真面目な顔をして、
「普通はな」
と答えた。

「だが、ここは違う。ここの『等活地獄』は『部分的正義に固執した者』が落ちる地獄だ」

「部分的正義?」

「だいたい、殺生したヤツの罪を殺生で罰するとか、矛盾も甚だしいだろ。『殺生』そのものが悪なのだとしたらね。仏教の等活地獄なんて所詮、人間の想像力が生み出したファンタジーにすぎないんだよ」

「ここは違うんですか?」

「明確に違う。ま、見ればわかるさ。ついてきな」
ありぃは吹雪を待たずスタスタと歩きだした。吹雪もそれを追ってチョコチョコと歩きはじめた。

17名無しさん
2023-07-19 03:19:20
ID:USd/2i7U

しばらく歩くと、学校の校庭みたいなところで二人の男が日本刀をもってハァハァと息をきらしていた。全身のいたるところに切り傷があるが、一方にはあまり傷がないのに対して、もう一方は血だらけといってもいいくらいだった。

「外国人‥?」

傷の少ない方は金髪の白人で、ガッシリした体型である。

「太平洋戦争中に沖縄戦で米兵として戦っていた男だ。道端でふるえている女の子に水を飲ませて助けてあげた映像が戦後有名になった」

「助けたのに地獄なんですか?」吹雪は呆れたように言い放った。

「ああ、確かに女の子は助けた。でも、あいつはその前の日に、女の子の弟をナパームで焼き殺しているんだよ、本人含めて誰もそのことを知らないけどな」

金髪の白人は「ウォォォォ!」と叫ぶと、もう一方のひ弱な感じの日本人に切りかかった。

「あぶない!」吹雪が叫ぶと、間一髪で日本人はそれをかわす。だが、ふとももを大きく傷つけられ、血がドロリと流れ落ちた。

「ここ『等活地獄』では、このように、罪人同士がえんえんと殺し合う。そして生き残った方を私がこのバットで始末するのさ」

ありぃの説明に、吹雪はゴクリとツバを飲み込んだ。
「元軍人が相手なんて、あの日本人かわいそう‥‥なんか俳優の中村雅俊さんに似てますね」

「あれは‥前世で私の実の父親だった男だ」

金髪の白人はもう一度日本刀を頭上にふりかぶると、「アアアア!」といって中村雅俊に向かって突進した。中村雅俊は地面にひざをついたまま、刀を横向きにして前へ突き出した。

サクッ。

刀は米兵の腹を貫き、背中から血にまみれた刀身が姿を現した。

一瞬、あらゆるものが静止したかに見えたが、米兵の前後に「プシュッッッ!」と血煙が立ち昇ると、時間は我に返ったように動き出した。
米兵はゆっくりとその巨体を地面に横たえ、中村雅俊は刀を杖がわりに地面に突き立てながら、肩でハアハア息をしていた。

ふと気がつくと、そのすぐ後ろにありぃが野球バットを大きく引いて構えていた。

中村雅俊はそれに気付くと振り返ってこう言った。

「ごめんな」

パアン!!
雅俊の頭部は熟れ過ぎたスイカのように真っ赤な断片を撒き散らしながらコナゴナに砕け去り、頭を失った胴体はゆっくりと地面に倒れた。

吹雪は何も言うことができず、ただその場に立ち尽くしていた。

18名無しさん
2023-07-19 03:20:00
ID:USd/2i7U

「心配するな。こいつらはまた生き返る」

「え?」

「すでに死んでるのに生き返るというのはおかしな話だな。正確にいうと、部分的に時間をループさせて、戦いの前の状態に戻すんだ。これがその装置。幕府からの支給品だ」

そういってありぃは何らかの装置を吹雪に見せた。

「そもそも時間のループはいたるところで起こっている自然現象だ。個々の宇宙、個々の異世界もループしているし、それらの内部でも無数の部分ループが大小長短さまざまに生じている。そして、それらを合わせた『全体』もまたループしている」

「そうなんですか」

「世界も物体も物体の『在り方』としての精神や魂、文化や社会といったものも、すべては無数の力の組み合わせでできていて、それがしばらく均衡している
状態が石や岩や人間の身体や、その中である『在り方』をとる心というものなんだ。それらは無数の力の組み合わせでできているが、決して『無限』ではない。だから、いつかは組み合わせが尽きる時がくるんだ。すると、また同じことが繰り返して起こる。これが全体に起こるループで俗に『永劫回帰』などと呼ばれている」

「はあ」

「しかし、そこまで極端に考えなくても、実は『同じ組み合わせ』や『同じ組み合わせ同士の組み合わせ』による部分的な繰り返しは、もっと頻繁に起きているんだ。これが自然現象としての『部分ループ』だが、我々は一般的にはこれのことを『時間ループ』と呼んでいる」

「はい」

「この自然現象としての『時間ループ』を何千年もかけて研究した連中がいる。私も『幕府』と呼ばれているということ以上は何も知らないし、どういう原理なのかも知らないが、とにかく、幕府が支給してくれたこの装置で『人為的な時間ループ』を引き起こすことができる。それで何千回、何万回も死んだ罪人、バラバラの肉片になった罪人を元の状態に戻して繰り返し戦わせることができる」

「へえ~」

吹雪が全く理解していないことは明らかだったが、言うだけのことは言ったとばかり、ありぃは二つの死体をそのままにして一人でスタスタと歩きだした。吹雪もチョコチョコと歩きはじめた。

19名無しさん
2023-07-19 03:20:37
ID:USd/2i7U

今度は寺の境内みたいなところで、女同士が戦っていた。

「あれは上野千鶴子と瀬戸内寂聴だ」

「へえ~‥‥誰?」

「いや‥知らんならいい」
獄卒は観光ガイドじゃないんだぞ、と言いたいのをありぃはぐっと我慢した。

上野千鶴子と瀬戸内寂聴は、お互い素手で向き合い、それぞれ構えをとっていた。

「あれ?どっかで見たような構えだな」
吹雪がつぶやいた。すると、

「イヤ~~ッ!天翔十字鳳!!」
瀬戸内寂聴が両手を横に広げた十字の構えから跳躍し、上野千鶴子に襲いかかった。

「ブン!」それを迎え撃つはずの上野の拳は空をきり、両肩からは血しぶきがあがる。

「ぐあっ!」

「フハハハ!私は天空に舞う羽根!どんな達人にも砕くことはできぬ」
寂聴は吊り上った狂人の目で爆笑した。

「いや『北斗の拳』のパクリじゃん!」吹雪はすかさずツッコんだ。

となると、上野は「天破活殺」で対抗するのかと思いきや、
「鷹爪乱舞掌!!」と叫んで寂聴に突進した。

「PS3『真・北斗無双』に登場したアミバの技かよ!」吹雪はツッコまざるをえない。

ありぃはホッとした。「鷹爪乱舞掌」とは、腕を無茶苦茶に振り回しながら突進し、相手を引っ掻きまくるという、いかにも『女子』という技だが、そのようなことを言うとフェミニストである上野に何をされるかわかったものではないため、吹雪による別角度からのツッコミに安堵したのである。

「まあ、こいつらは延々戦わせておこう」
ありぃはそう言って、スタスタと歩き出した。吹雪もチョコチョコとついていった。

20名無しさん
2023-07-19 03:21:44
ID:USd/2i7U

しばらく歩くと、JRの新快速の車内が再現されたステージに着いた。

「いや、痴漢もののAVですか!」と吹雪がツッコむ。

「まあ、当たらずと雖も遠からず、というところだな」
ありぃは苦笑した。

よく見ると、ガランとした車両のセットの中で、二人のおっさんが向かい合って何かをしている。吹雪は目を細めて見て愕然とした。

「オナニーじゃないですか!」

「そう、こいつらはオナニー合戦、つまり精子の打ち合いをしているんだ」
ありぃは事も無げにそう言った。

「キモッ!」吹雪がそう言うのも無理はない。

「こっちのいかにも頑固そうな顔をしたおっさんは、昼間のガラガラな状態で女性専用車にあえて乗車し、『男性も女性専用車に乗れるかを確認していた』と主張していたおっさんだ」

「あー、いましたね、そんな人。部分的というか、めちゃめちゃ狭い正義感ですよね」吹雪は呆れながらおっさんをにらみつけた。

「『正義』っていうのは、個々の正義の間のバランス感覚を抜いたらただのエゴだからな」

そう言ってありぃは光の速さで「反女性専用車」のおっさんの頭部をバットで粉々にした。

「こっちのいかにも『アイドルヲタ』って感じのおっさんは、‥実は罪人でも亡者でもないんだ」

「え?どういうことですか?」

「『丸山』って覚えてるか?」

「ああ、『キャスフィ避難所』に常駐してた変態ですね」

「そう。あいつは実は私のネットストーカーで、私がまだ『葉っぱ天国』にいた小学生の頃からずーーっと私につきまとっていたんだ」

「そうなんですか。あっ、そういえば、『Tea Room 有栖』とか『アナーキー乙女』のライブ会場でもありぃさんのストーカーがいるっていう話がありましたよね、あれ、『丸山』のことだったんですか!?」

「そう。そして、こいつまだ死んでないのに、生身のままここまでついてきちまったんだよ」

ありぃはそう言うと、今度はゆっくり丸山に近づき、バットをふりあげた。それに気付いた丸山はニッコリ笑って、

「まん貝」

とつぶやいた。パアン!!という乾いた破裂音とともに、丸山の頭部は粉々になり、吹雪の近くに丸山の眼球が1つ、転がってきた。

「面白いものを見せてやるよ」
ありぃはそう言うと、地面に落ちていた丸山の眼球を拾い上げ、M字開脚した。

「え、ノーパン‥」吹雪は困惑した。

ありぃは剥き出しになったオマンコに丸山の眼球を納めると、そのまま後ろに倒れ、仰向けに寝て右脚をまっすぐ天に向かって垂直に伸ばし、左脚は地面にピッタリくっつけて、「L字」のポーズを作った。

はじめありぃの内部に向いていた丸山の眼球はクルッと上下に回転して外側を向き、吹雪と目が合った。

血走った丸山の目は、はじめ怒っているように感じられたが、目玉の下から透明なありぃの愛液がツゥーっと垂れてくるに及んで、ようやく吹雪は事態を把握した。彼は泣いているのだ。

ここにまた新たな『仏(ホトケ)』が誕生した。ホトケの名を「ロスト・アスホールズ(どうしようもないケツの穴)」という。名前がアレなんで、アレだと思うかもしれないが、仏教でいえば「阿弥陀如来」に相当するホトケである。俺以外誰も俺を愛していないという絶対的事実がそのままの形で救いとなる、そんな世界。

気がつくとありぃは丸山とともに消えていた。吹雪はまたひとりぼっちになった。

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